学校長メッセージ(その1)
生徒の皆さんへ
今、どうしますか
生徒の皆さん、長い休校中どのように過ごしていますか? 外出もままならずかなりフラストレーションが溜まっていることでしょう。本来であれば学校生活が始まって1ヵ月が経過しているはずですが、現状は、授業もできず、部活動もできず、友人や仲間たちと語らうこともできず、強い焦りと不安を感じているのではないでしょうか。では、今、どうすればいいでしょう。何をすればいいでしょう。
以下はこの状況下での励ましの言葉というより、皆さん一人ひとりに考えてほしいと思うことです。
新型コロナウイルス感染症という目に見えない脅威が日本全国に広がっており、私たちはこの未知の脅威に立ち向かわざるを得ない状況に置かれています。学校の休校だけでなく、多くの店舗が営業を自粛し、企業等も在宅勤務等でフル稼働の状態とはほど遠く、そして医療に従事している人達は自身も感染の危険にさらされながら懸命に検査、治療に当たっている。生徒の皆さんはというと、ほぼ一日中家の中で過ごし、あるいは人のいない所へ行きトレーニングや軽い運動をし、たまに必要な食料品や日用品を買いに行く。これが想像もしなかった今の、目の前の現実です。
こういう状況下では、得てして人間の本質的な姿が現れてくるものです。自分だけ良ければいい、助かればいいというエゴ、やるべきことを後へ後へと放り投げる怠惰、理由もなく感染者をつき止め非難、差別する愚かしさ。大人の一歩手前にいる高校生の皆さんなら理解し自覚できるのではないでしょうか。一方で、重症患者の命を救おうと一生懸命努力する人たちや決められたルールを遵守し感染者を減らそうと努める人たち、そして何より、経済状況が悪化するなか家族の生活を支えるために、できる限り感染を防ぐ対策をしながら勤めに向かうご両親の姿も目の当たりにしていることでしょう。前者も後者もすべて人間の姿です。おそらく一人の人間の中にもこれら二つが混在しているはずです。それを理解した上で、どう判断し、何をすればいいのか考えなければなりません。つまり、どういう気持ちをもって、どういう行動をとるか試されているということです。
この状況下でただ悲観的になり、不平を言いながら何もせず無駄に日々を過ごすのか、あるいは日常の些細なことでも大切にし、さらにこの現実を飛躍の機会ととらえ、自身の向上のため毎日を計画的に有意義に過ごすのか。これは平常時でも日常的に人の心の中で葛藤として起こることだと思います。たまたま今、新型コロナウイルス感染症の脅威により皆さんは自分自身と向き合うことを余儀なくされているだけです。さてあらためて問います。今、皆さんはどうしますか? これからどう日々を過ごしますか?
難しい話になりましたが、要するに新型コロナウイルス感染症がもたらした不測の事態によって皆さんは行動を変えていかなければならないということです。さらに言えば、多数の死者が出るなど悲惨な状況に変わりはないけれど、考えや行動を変える絶好の機会が訪れたのかもしれないということです。人によってはだらだらした日々を過ごしてしまったかもしれませんが、それは仕方ありません。ただ、このままでいいとか、なんとなくこのままやり過ごして学校が再開したら頑張ればいいと思ってほしくはありません。今、そしてこれから何をどうすればいいか、真剣に考えてみてください。それはきっと皆さんの「進路」に結びつくはずです。
長くなりましたがこれで終わります。生徒の皆さんも、私たち教員も、引き続き外出を控え、周囲への気配りを忘れず、体調管理には充分注意して、授業再開時に笑顔で会うことができるよう頑張りましょう。
令和2年5月1日
校長 杉浦 彰彦