学校長メッセージ(その2)
生徒の皆さんへ
少し辛抱、長い辛抱
休校になってついに2ヵ月以上も経ってしまいました。通常の夏休みより長い期間です。きっと、いろいろなことに遅れを感じ、不安ばかりが増しているのではないかと思います。
前回のつづきになりますが、皆さんは、そのような中で自分をみつめ、今、するべきことに気づくことができたでしょうか。なんとなく一日を過ごし「ああ、もう夕食かぁ…」、あるいは夜明けに寝て昼起きる、というような生活から抜け出すことができたでしょうか。
新型コロナウィルスの感染は、悲しいことに依然亡くなられる方もいますが、少しずつ減少し始めているようです。しかし緊急事態宣言下、様々な問題が出てきました。失業もしくは失業のおそれのある人たちの増加、収入が大幅に減ったことに対する補償や対応の問題、 感染者の把握や治療は充分に行えるのか? 外出自粛やマスク着用はしっかり守られているのだろうか、いつまで続けなければいけないのか? 感染者への世の中の対応は適切だろうか? 皆さんに直接かかわる学校再開についての見通しは? えっ、9月入学・始業? これらは個人の問題でもあり、国家や人類の問題でもあります。簡単に解決できることではありません。全国の緊急事態宣言はじきに解除されるかもしれません。だからといってすぐに以前と同じ生活ができるわけではありません。そこには依然としてウィルスが潜み、毒をまき散らしひそかに問題を浮かび上がらせているのです。もう少し辛抱すれば少しだけ以前の生活に戻すことはできます。しかしその後も長く辛抱していかなければならないことも間違いありません。「パンデミック」とはそういうことなのです。年単位の長期にわたり人類は感染症とともに過ごさなければならないということ。そして世界には多くの問題が残ったまま。その解決に向けて人々が懸命に努力しつづける日々。
さて、もし皆さんがすでに自分のできること、やるべきことを見つけたなら、次はもっと視野を広げて、この感染症が日本や世界にもたらしたことやそこから発生した問題について考えてみてください。高校生の皆さんには難しいことも多いと思いますが、例えば検査や治療をめぐる体制はどうなっているのか、どうあるべきか、他の国の感染症対策は? 失業した人たちの救済は? 営業できない店、どうすればいいんだ、9月入学制度ってどうなの等々、今までほとんど考えたこともないようなことが新型コロナウィルスによって明らかになり、もしかしたら皆さんの身近なところで切実な問題となって現れているかもしれません。今まで水面下にあったことがこういう時だからこそ現れてくるのです。そこに現れた社会問題について少しずつ、興味のある事からでいいので考えてみてください。家で静かにがまんして過ごさなければならないこの期間に、長い時間をかけて。その長い思考の過程で社会とその問題について深く知り、これからの社会のあるべき形を考えるようになり、そこで生きる未来の自分の姿、進むべき道が見えてくるかもしれません。
学校のある山梨県など多くの県で自粛の段階的な解除が進んでいくことになりますが、特別警戒の必要な都道府県ではまだ緊急事態が続いています。私たちはもう少し辛抱して、絶対に気を抜かず感染予防に努める必要があります。そして、その後もウィルス感染の可能性がなくなるわけではありません。長い長い辛抱が求められることになります。生徒の皆さんも引きつづき感染予防を怠りなく過ごして下さい。
もう少し辛抱、そしてまた長い辛抱。では、学校再開の日まで。
令和2年5月15日
校長 杉浦 彰彦
学校長メッセージ(その1)
生徒の皆さんへ
今、どうしますか
生徒の皆さん、長い休校中どのように過ごしていますか? 外出もままならずかなりフラストレーションが溜まっていることでしょう。本来であれば学校生活が始まって1ヵ月が経過しているはずですが、現状は、授業もできず、部活動もできず、友人や仲間たちと語らうこともできず、強い焦りと不安を感じているのではないでしょうか。では、今、どうすればいいでしょう。何をすればいいでしょう。
以下はこの状況下での励ましの言葉というより、皆さん一人ひとりに考えてほしいと思うことです。
新型コロナウイルス感染症という目に見えない脅威が日本全国に広がっており、私たちはこの未知の脅威に立ち向かわざるを得ない状況に置かれています。学校の休校だけでなく、多くの店舗が営業を自粛し、企業等も在宅勤務等でフル稼働の状態とはほど遠く、そして医療に従事している人達は自身も感染の危険にさらされながら懸命に検査、治療に当たっている。生徒の皆さんはというと、ほぼ一日中家の中で過ごし、あるいは人のいない所へ行きトレーニングや軽い運動をし、たまに必要な食料品や日用品を買いに行く。これが想像もしなかった今の、目の前の現実です。
こういう状況下では、得てして人間の本質的な姿が現れてくるものです。自分だけ良ければいい、助かればいいというエゴ、やるべきことを後へ後へと放り投げる怠惰、理由もなく感染者をつき止め非難、差別する愚かしさ。大人の一歩手前にいる高校生の皆さんなら理解し自覚できるのではないでしょうか。一方で、重症患者の命を救おうと一生懸命努力する人たちや決められたルールを遵守し感染者を減らそうと努める人たち、そして何より、経済状況が悪化するなか家族の生活を支えるために、できる限り感染を防ぐ対策をしながら勤めに向かうご両親の姿も目の当たりにしていることでしょう。前者も後者もすべて人間の姿です。おそらく一人の人間の中にもこれら二つが混在しているはずです。それを理解した上で、どう判断し、何をすればいいのか考えなければなりません。つまり、どういう気持ちをもって、どういう行動をとるか試されているということです。
この状況下でただ悲観的になり、不平を言いながら何もせず無駄に日々を過ごすのか、あるいは日常の些細なことでも大切にし、さらにこの現実を飛躍の機会ととらえ、自身の向上のため毎日を計画的に有意義に過ごすのか。これは平常時でも日常的に人の心の中で葛藤として起こることだと思います。たまたま今、新型コロナウイルス感染症の脅威により皆さんは自分自身と向き合うことを余儀なくされているだけです。さてあらためて問います。今、皆さんはどうしますか? これからどう日々を過ごしますか?
難しい話になりましたが、要するに新型コロナウイルス感染症がもたらした不測の事態によって皆さんは行動を変えていかなければならないということです。さらに言えば、多数の死者が出るなど悲惨な状況に変わりはないけれど、考えや行動を変える絶好の機会が訪れたのかもしれないということです。人によってはだらだらした日々を過ごしてしまったかもしれませんが、それは仕方ありません。ただ、このままでいいとか、なんとなくこのままやり過ごして学校が再開したら頑張ればいいと思ってほしくはありません。今、そしてこれから何をどうすればいいか、真剣に考えてみてください。それはきっと皆さんの「進路」に結びつくはずです。
長くなりましたがこれで終わります。生徒の皆さんも、私たち教員も、引き続き外出を控え、周囲への気配りを忘れず、体調管理には充分注意して、授業再開時に笑顔で会うことができるよう頑張りましょう。
令和2年5月1日
校長 杉浦 彰彦
校長あいさつを更新しました。
本年度から学校長に就任した杉浦からのメッセージを掲載致しました。
令和2年度 第59回入学式
本日第59回入学式が挙行され、120名の新入生の入学が許可されました。
新型コロナウィルス感染拡大防止の対応として、新入生と教職員のみの出席としました。
新入生を代表して、白倉すずのさんが誓いのことばを述べました。
令和2年度始業式
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、午前2年生、午後3年生に分けて始業式を行いました。始業式では生徒・教職員全員がマスク着用、間隔をあけるなど感染防止に細心の注意を払いました。式の中では杉浦校長先生から、現在の状況の正しい理解と休校期間中の過ごし方についてお話がありました。